Googleマイビジネスの運用はお店の認知拡大や集客に良い影響を与えます。
そして運用を続けていると、いつの間にかユーザーからの口コミが投稿されるようになります。この口コミというのはGoogleマイビジネスに最初から搭載されている機能で、Googleアカウントを持っていれば誰でも投稿することができ、検索結果で表示される「Googleのクチコミ」(スマホの場合は「クチコミ」)をクリックすることで閲覧できます。
Googleマイビジネスを運用していくうえで写真の投稿やイベント情報を告知することはあっても、口コミは第三者が投稿するため、特にこれといった対応はしていないという方も多いのではないでしょうか?
しかしそれは大きな間違い。実はGoogleの口コミは現代のネット集客において非常に重要な意味を持ち、また検索順位にも大きく影響するため、MEO対策においても欠かせない要素となっています。
とはいえ、一般的に口コミを投稿することはあっても、口コミに返信する機会はあまりないと思います。それに良い口コミならまだしも、時には星1の低評価や辛辣な口コミを書かれることもあるでしょう。そのため、返信の際は真摯な態度で向き合い、見ている人が嫌な気持ちにならない表現を心掛ける必要があります。
今回は、そんなGoogleマイビジネスの運用と集客に有効なGoogle口コミに対する返信の重要性と返信方法について詳しく解説していきます。
Googleマイビジネスの口コミが重要な理由
Googleマイビジネスへの口コミはGoogleアカウントを持っていれば誰でも投稿することができます。そして口コミの重要性については言わずもがな、顧客の来店意欲や購買行動に大きく関係しています。
実際にある調査では、商品やサービスを購入する際に95.1%の人が口コミやレビューを参考にしている(図1)という結果が出ており、さらには口コミがよくなかった・口コミがなかった場合は3割以上が「購入を取りやめる」あるいは「取りやめることの方が多い」(図2)と回答しています。
出典元:三菱UFJリサーチ&コンサルティング|口コミサイト・インフルエンサーマーケティングの動向整理
この調査結果にもあるように、多くの人は商品の購入やサービスを利用する前に口コミを確認しており、そして口コミの評価がよくなかった場合や、そもそも口コミ自体書かれていない場合はその後の行動を取りやめる傾向にあります。
ということは、逆に良い口コミが多ければそれだけ来店意欲や購買意欲に結び付きやすく、取りこぼしがないというわけです。
これは行動心理学における『ウィンザー効果』と『バンドワゴン効果』でも証明されており、今後口コミを集めていきたい人にはぜひ知っておいてほしい知識です。
ウィンザー効果
ウィンザー効果とは、当事者が発信する情報よりも利害関係のない第三者から伝達された情報の方が信憑性を増すという心理現象のことです。
名称の由来は作家のアーリーン・ロマノネス著のミステリー小説『伯爵夫人はスパイ』に登場するウィンザー伯爵夫人の「第三者の誉め言葉がどんなときにも一番効果があるのよ。忘れないでね。」という台詞から来ています。
このウィンザー効果は日常やビジネスシーンでもよくある現象で、例えばAさんから直接「○○さんは気が利くね。」と言われるよりも、Bさんから「Aさんが○○さんのこと気が利くって褒めてたよ。」と言われた方が信憑性は増します。
これを口コミに当てはめた場合、例えば「この青汁は苦味がなく、お子様でもゴクゴク飲めます。」というコピーよりも、利用者の口コミで「この青汁は苦味がないので、子どもたちも毎朝ゴクゴク飲んでいます。」と書かれている方が信憑性は増し、素直に意見を受け取れます。
なぜなら情報元と利用者の間には利害関係がなく、口コミはあくまで第三者の意見として嘘偽りなく発信されているからです。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、ある事柄を大多数の人が支持することで集団心理が働き、より一層支持が高くなる心理現象のことです。バンドワゴンとはパレードの先頭を走る楽隊車のことで、人々がその後方で行列を成す様子からこの名称が名付けられました。
例えば同じ値段・同じスペックの2つの商品があった場合、「当店人気NO.1」のPOPが貼られているAの商品と何も貼られていないBの商品とではAの商品の方が売れやすくなるように、すでに多くの人が選んでいるものはそれだけ支持も強くなる傾向にあります。
自分以外の大勢の人が支持していることから安心感が生まれ、間違った選択にならないという心理が働くからです。
そのため口コミが集まれば集まるほどユーザーの注目度は高まり、口コミの評価に後押しされる形で来店や購入に繋がります。
口コミへの返信が重要である理由
口コミへの返信が重要である理由…それはユーザーと直接コミュニケーションが取れることはもとより、ローカル検索結果の順位にも大きく影響するからです。
口コミに返信するだけでお店の好感度が上がり尚且つ順位も上がる、まさに一石二鳥…いや、第三者視点からサービス改善ポイントも発見できるので一石三鳥です。
Googleも口コミへの返信を推奨している
『Googleが掲げる10の事実』にもあるように、Googleは常にユーザーの利便性を第一に考えています。
また、Googleマイビジネスヘルプ「Googleのローカル検索結果の掲載順位を改善する」の文面の中にも『クチコミの管理と返信を行う』という一文が記載されているため、管理者はGoogleとユーザーの意向を汲み取りながら、Googleマイビジネスを充実させていきましょう。
サービス向上や改善点の発見に役立つ
口コミには自身の経験を通して商品やサービスの質を知ってもらいたいというポジティブな面もあれば、批判することで自身の不満をスッキリさせたいというネガティブな面も持ち合わせています。
ネガティブな口コミの多くは「接客態度が悪い」「料理がまずい」「品揃えが悪い」「発送が遅い」といった主にサービスの質に関する内容のため、何もせず放置しているとこれから来店しようと考えているユーザーに対しても悪い印象を与えかねません。
そのため良い内容はもちろんのこと批判的な内容にも真摯な態度を示し、むしろサービスの改善点に気付かせてくれてありがとうといった姿勢で対応していきましょう。
実際に悪い口コミの中には店側では気付きにくい問題点を指摘してくれているケースもあるため、ネガティブな内容でもお客様の生の声だと真摯に受け止めてサービス向上に役立てていきましょう。
ユーザーとの信頼関係を築ける
口コミに返信することで、口コミを書いたユーザーに対しきちんと見ていると証明できるのはもちろんのこと、これから訪れるその他のユーザーに対しても効果的にアプローチができます。
ただし定型文ばかりで返信していると「事務的にやっている感」が出てしまい、場合によっては親しみやすさが損なわれる可能性もあります。多少手間ではありますが1つ1つ内容をチェックし、感謝の言葉と共に短いコメントも添えて返信していきましょう。
「○○な所が良かった」などの口コミには、さり気なくセールスポイントをアピールしてみても良いかもしれません。
新規獲得につながる
前述の「Googleマイビジネスの口コミが重要な理由」にもあるように、大多数の人は来店や購買の意思決定に口コミを参考にしています。
そのため口コミに返信することで見込み客に対し、「どんなお店で」「どんなサービス内容で」「どういった人物が営業しているか」ということを短時間で好意的にアプローチすることができます。
良い印象を与えられる返信方法について
Googleマイビジネスに口コミが増えると検索順位上位化のきっかけになる他、リピーター増加や新規顧客獲得にも繋がります。
頂いた口コミにきちんと返信することで、既に書き込んだユーザーはもちろん、書こうか迷っているユーザーに対しても「この店はちゃんと口コミを見てくれている」と印象付けられるため、より沢山集まるようになります。
しかし先ほども申し上げたように、毎回同じ言い回しの定型文ばかり返信しているとテンプレートをコピペしているだけのようなやっつけ感が出てしまいます。
感謝の気持ちを表す言葉は定型文でも構いませんが、そこにプラスする形で書かれている内容への返答をするなど、何かしらアクセントを付けましょう。そうすることで特別感が生まれ、書いた人はもちろん見ている人にも良い印象を与えてくれます。
良い口コミ・良い評価への返信方法
1つ1つに違った返信をするとなるとそれだけ時間も取られてしまいます。そこで、口コミ返信に時間が取れない方や、そもそも文章を書くのが苦手な方は事前に基本形を作っておくことをおすすめします。
形としては、まず来店してくれたことと口コミを投稿してくれたことへの感謝を伝え、次に書かれている内容への返信、最後に再来店を促す言葉で締めくくります。
1. 来店してくれたことへの感謝を表す
例:「この度はご来店いただき誠にありがとうございました。」
2. 書かれている内容への返答
例:「ランチメニューを気に入っていただけたようで大変光栄です。10月には秋の野菜をふんだんに使った新メニューも加わりますので、こちらもぜひお試しいただければと思います。」
3. 再来店を促す
例:「またのお越しをスタッフ一同心よりお待ちしております。」
なお、口コミなしの場合も高評価であればなるべく、「高評価ありがとうございます。またのご来店をお待ちしております。」というような簡単な返信をしておきましょう。
良い口コミを増やすには?
頂いた口コミ全てに丁寧に返信しても、なかなか新しい口コミが増えない…という悩みに突き当たることもあるでしょう。
そんな時はどうすればいいのか?一番簡単な方法としては、お店の常連さんにお願いして書いてもらうことです。常連さんであればまず悪い口コミは書かれないですし、お願いも気兼ねなくできると思います。
また、実際にお店に訪れた上での口コミですのでステマやサクラでもありません。もし常連客が何人かいる場合は堂々と「Googleマイビジネスに口コミを書いてください。」とお願いしましょう。
POPやショップカードも効果的
常連さんには「口コミ書いてください。」とお願いすればいいですが、その他のお客様にはなかなか伝えづらいと思います。
下手をすれば「口コミを強要された」と捉えられて逆に悪い口コミを書かれてしまう可能性もありますので、常連客以外には自然な形で口コミを書いてもらえる仕組みを作りましょう。
例えば、POPやショップカードにGoogleマイビジネスの口コミ投稿画面のQRコードを貼っておけば、スマホから気軽に投稿してもらえるのでおすすめです。
Googleマイビジネスの口コミ投稿画面:QRコード作成手順
1.『Place ID Finder』の[Enter a location] に屋号を入力します。すると候補が出てくるので、屋号と同じ住所を選択します。
2. 『PlaceID』が表示されますので文字列をコピーし、下記URLの(Place ID)の部分に入力します。
3. 出来上がったURLを無料QRコード作成サイトにペーストすればQRコードの完成です。
4. POPやショップカードにQRコードを掲載し、ついでに「こちらからお店の口コミを受け付けています。」など一言添えておきましょう。
「モノで釣る」はNG!
ネットショップではよく、「商品到着後、レビューを書いて次回使える10%OFFクーポンゲット!」などの謳い文句を目にしますが、Googleマイビジネスではこのような口コミと引き換えにプレゼントを渡す行為を禁止しています。割引特典のような金銭が絡むモノはもちろん商品サンプルなども禁止です。
見つかり次第第三者から通報される可能性もあるため、ガイドラインはしっかり遵守しましょう。
ちなみに店の関係者がアカウントを変えて投稿する、いわゆる”サクラレビュー”ももちろんガイドライン違反です。
悪い口コミを書かれた場合はどうする?
どんなに質の高いサービス提供を心掛けていても、時として悪い口コミや低評価を付けられてしまうことがあります。
悪い口コミは決して気分が良いものではありませんが、だからといってケンカ腰で対応するのは絶対にNGです!理不尽なクレームが来ればイライラしますし、反論したくなる気持ちもわかりますが、だからといって怒りをあらわにしても火に油を注ぐだけです。
それに攻撃的になればなるほどお店の印象は悪くなりますし、それを見ている他のユーザーにまで不快な思いをさせてしまう可能性があります。
お客様はその人だけではありません。本当に大切なのは口コミ投稿を見ているその他大勢のユーザーであることを忘れずに適切な対応をしていきましょう。
絶対にやってはいけない対応その1 攻撃的な反論
サービスに対して理不尽な口コミが書かれていると、「なら二度と来ないでください!」と言いたくなると思います。しかしこのような攻撃的な反論は口コミ投稿者だけでなく、それを見た他のユーザーにも不快な思いをさせてしまいます。
一度でも「この店は客に対してこんな対応をするんだ…」と思われてしまえば、そのユーザーはもう二度と利用することはないでしょう。口コミの返信内容は投稿者だけでなく、他のユーザーも見ていることを忘れてはいけません。
絶対にやってはいけない対応その2 削除強要
誹謗中傷や事実と異なる悪質な口コミに関しては、Googleに削除申請を出すことで対処できます。
しかし個人の感想で書いたネガティブな口コミに関しては、削除よりも丁寧な返信を行う方が良い場合もあります。店側にミスがあったのならば誠心誠意対応し、理不尽な要求に対しては毅然とした態度で接すればまず批判を受けることはないでしょう。
間違っても投稿者本人に直接削除を強要したり、法的措置をチラつかせたりしてはいけません。実際にそのような行為を行いSNSで炎上したケースもありますので、悪質な口コミ以外は返信で対応するようにしましょう。
絶対にやってはいけない対応その3 言い訳・責任転嫁
クレームに対して店側にも言い分があるのはわかりますが、言い訳や責任転嫁は配慮に欠けますし、見ていて気持ちの良いものではありません。ミスがあったのならば非を認めた上で適切にお詫びし、再発防止に努める旨を説明しましょう。
なお、卑屈すぎる対応も他のユーザーにマイナスなイメージを与えてしまいますので、謝罪ばかりの返信も要注意です。
絶対にやってはいけない対応その4 放置
ある意味、これが一番やってはいけない対応です。特に強気なクレームだと返信も億劫になりがちですが、放置していると本当にそういう店なのだと他のユーザーに勘違いされる可能性があります。
見込み客が離れてしまわないためにも、悪い口コミは放置せずにきちんと対処しましょう。
悪い口コミ・低評価への返信方法
悪質な口コミではなく、例えば「料理が冷めていた」「注文と違う商品が届いた」など、明らかに店側に非がある場合は誠心誠意お詫びし、改善の意向を示すようにしましょう。
1. 来店してくれたことへの感謝を表す
例:「この度はご来店いただき誠にありがとうございました。」
2. 書かれている内容を受け止め謝罪する
例:「また、当店の不手際によりお客様に不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした。ご指摘いただいた件につきましてはスタッフと確認・共有し、改善していく所存でございます。」
3. 今後の改善策を示す
例:「今後はスタッフ一同事前確認を徹底し、再発防止に努めて参ります。貴重なご意見ありがとうございました。」
なお、口コミに返信すると一般公開されるほか、口コミ投稿者にも通知が届きます。攻撃的な返信は多くのユーザーに不快感を与えるだけですので絶対に止めましょう。
悪質な口コミや不適切な口コミはGoogleに削除申請できる
明らかに虚偽の内容である場合や誹謗中傷・不適切な内容の口コミである場合は、ポリシー違反として削除申請を行うことができます。
禁止および制限されているコンテンツ
Googleでは、以下のような『虚偽のクチコミやスパムなどの不適切なコンテンツ』を禁止しています。
これらに該当する口コミが投稿された場合は、速やかに削除申請を行いましょう。
- スパムと虚偽のコンテンツ
- 関連性のないコンテンツ
- 制限されているコンテンツ
- 違法なコンテンツ
- テロリストのコンテンツ
- 露骨な性的表現を含むコンテンツ
- 不適切なコンテンツ
- 危険なコンテンツおよび中傷的なコンテンツ
- なりすまし
- 利害に関する問題
なお、単なる低評価や投稿された内容が気に食わないなどの理由では削除申請を行っても受理してくれる可能性は低いです。
Googleに口コミの削除申請をする手順(ビジネスオーナー)
①Googleマイビジネスにログインし、「ビジネスを管理」をクリックします。
②「クチコミ」をクリックします。
③口コミ一覧から報告したい口コミを選択し、右上の「︙」をクリック後、「不適切なクチコミとして報告」をクリックします。
④「このクチコミの問題点」という画面が表示されますので、該当の項目を選択し「報告」をクリックすれば完了です。
Googleに口コミの削除申請をする手順(第三者)
①Google検索から該当のページを開き、「Googleのクチコミ」をクリックします。
②口コミ一覧から報告したい口コミを選択し、右上の「︙」をクリック後、「レビューを報告」をクリックします。
④「このクチコミの問題点」という画面が表示されますので、該当の項目を選択し「報告」をクリックすれば完了です。
以上の手順でGoogleから不適切な口コミだと判断されれば削除されます。
Googleマイビジネスの口コミ返信手順
では実際にGoogleマイビジネスに寄せられた口コミに返信していきましょう。
その前にまず、返信を行うにはGoogleマイビジネスのオーナー確認を済ませておく必要があります。
オーナー確認とは言わば本人確認のようなもので、先に済ませておくことでGoogleマイビジネスをフルに使用できるようになります。また、なりすましなどの第三者から勝手に情報発信されることも防げますので、Googleマイビジネスを登録する際は必ずセットでオーナー確認をしておきましょう。
なお、オーナー確認の方法については、『Googleマイビジネスのオーナー確認が重要な理由』で解説していますのでそちらをご参照ください。
返信の手順(オーナー確認している場合)
①Googleマイビジネスにログインします。
②ビジネス情報を開き、左側メニューの「クチコミ」をクリックします。
③投稿された口コミが表示されますので、口コミの下にある「返信」をクリックします。
④返信内容を入力し、「返信を投稿」をクリックすれば返信完了です。
口コミ返信は迅速丁寧に対応しよう
良い口コミ・悪い口コミに関わらず、まずは来店や投稿してくれたことへの感謝を伝えましょう。そして丁寧な言葉遣いで迅速に対応することも大事です。
無理にかしこまった文章や長文である必要はありません。書かれた内容を真摯に受け止め、丁寧な言葉遣いを意識しながら分かりやすい・読みやすい文章を心掛けましょう。
まとめ
口コミは見る人の来店意欲や購買意欲を促進する反面、時としてお店の評判を下げてしまう恐ろしいものでもあります。どんなに気を付けていても、ちょっとしたことで心無いコメントやクレームを投稿される場合もあるでしょう。
しかしだからといって放置したり、むやみに投稿者を攻撃したりすれば炎上の火種になるだけでなく、これからファンになってくれる見込み客まで失ってしまいます。
またGoogleはあくまで中立的な立場であり、ポリシー違反以外は基本的に対処しません。したがって、Googleマイビジネス管理者はどのように返信すれば集客・改善に繋がるかを意識しながら対処していきましょう。