これまでビジネスを展開したい時や自社サイトを宣伝したい時などに有効なWeb集客方法と言えば、検索エンジン上位化サービス(=SEO対策)が主流でした。
しかし近年は急激なスマートフォンの普及によってWeb集客方法も多様化を極め、現在ではSEO対策の他にSNSを使った集客やスマートフォン向け検索エンジン上位化サービス(=MEO対策)などが注目を集めています。
令和2年5月29日に総務省が公表した「令和元年通信利用動向調査の結果 ※1」によると、個人の端末別インターネット利用状況は13歳~69歳の各年齢階層でスマートフォンが首位を独走しており、特に10代後半~30代の若い世代においてはおよそ8割がスマートフォンからインターネットを利用している状況にあります。
したがってこれからWeb集客を行う場合は、従来のPCユーザー向けのSEO対策だけでなく、スマホユーザーに向けた施策も考えていかなければなりません。
MEO(スマートフォン向け検索エンジン上位化サービス)とは?
スマホユーザー向けの集客方法として主に活用されているのが、TwitterやInstagramなどのSNSを使った広告宣伝です。
しかしこれらのSNSは手軽に始められる反面、特定のユーザーへの宣伝が難しく、また世間的に認知されるまでは確実な成果を得られにくいというデメリットもあります。
さらには一部のユーザーによってデマや間違った情報を拡散されてしまうリスクもあるため、SNSは大々的に活用するよりも、あくまで1つの情報発信ツールとして活用していくのが賢明です。
では低リスクかつ特定のスマホユーザーに向けた集客方法は何かというと、それが冒頭で少し触れた『スマートフォン向け検索エンジン上位化サービス(=MEO対策)』です。
SEO対策とMEO対策、どちらも検索エンジンからの流入を目的としているため判別しづらいですが、この2つのサービスは頭文字が違うだけで表示場所からその施策内容まで大きく異なります。
SEO対策とMEO対策の違い
SEO対策とMEO対策両方に共通することは、どちらも検索エンジンからの集客を目的とした施策という点です。
まず、SEOは「Search Engine Optimization」の略称であり、日本語に訳すと『検索エンジン最適化』という意味になります。
「最適化」という言葉が少々分かりづらいですが、要約すると「特定のWebサイトを検索結果上位に表示させるための施策」という意味です。
指定のキーワードにて自然検索結果1ページ目(10位以内)に表示させることが主な目的で、ユーザーのニーズに合わせたアプローチが可能となっています。
一方のMEOは「Map Engine Optimization」の略称であり、こちらは『地図エンジン最適化』つまり、「指定のキーワードでGoogleマップ上位に表示させるための施策」という意味です。Googleマップ内という限定的な範囲で施策を行うことから、別名:ローカルSEOとも呼ばれています。
対象となる「モノ」と「ヒト」にも違いあり
SEO対策とMEO対策、この2つの大きな違いは検索結果における表示場所が異なるという点ですが、それ以外でも異なる部分があります。
まず1つ目は対策を行う「モノ」が異なる点。SEOは対象のWebサイトを上位表示させることが目的ですが、MEOでは仮にWebサイトが無くても対策が可能です。
なぜかというと、MEOで対策するモノはWebサイト単体ではなく、各企業やショップが登録している『Googleマイビジネス』そのものだからです。
そして2つ目はターゲットの対象となる「ヒト」が異なるという点。
SEO対策ではキーワードによってエリアを限定することはありますが、基本的に地域性に差が出ることはありません。反対にMEO対策は検索する位置(現在地)によって検索結果が大きく異なるため狭い範囲での施策が可能であり、対象の店舗や施設周辺の人々にターゲットを絞ることで集客効果を発揮します。
MEOの特徴をさらに詳しく解説
MEOはGoogleマップの順位を対象とした施策のため、地域性に特化した対策であることがわかりました。
ではなぜ、MEO対策はスマホユーザー向けの施策と言われているのか?この点について、MEOの特徴も含めて詳しく解説していきます。
特徴① 表示場所が大きく、目に留まりやすい
下記の図1は「地域名+業種」のキーワードで検索をかけた時の検索結果です。
こちらの場合ですと、まず一番上の『広告エリア』にリスティング広告が表示され、真ん中には『ローカル検索エリア』のGoogleマップ、一番下の『自然検索エリア』には人気ポータルサイトが並んでいます。
この画像をパッと見た時、最初に目に留まったエリアはどれでしょうか?恐らくほとんどの人が真ん中のローカル検索エリアに注目したかと思います。
上から順番に見ていくというタイプの人ならば最初に広告エリアを目にすると思いますが、大多数の人はまず、色鮮やかな写真が表示されているローカル検索エリアに目が行くでしょう。
また、Googleマップも一緒に表示されているため2つのエリアよりも大きくて分かりやすく、さらに画像2のようにスマートフォンで検索をかけた際は画面いっぱいにローカル検索エリアが表示されます。
集客戦略においてユーザーの注目を集めるというのは一番重要な部分です。そのためMEOは、スマートフォンユーザーに対してアプローチを行いたい時に有効な手段となります。
<図1>
<図2>
特徴② 意欲の高いユーザーのみに絞れる
ローカル検索エリアにあって広告エリアや自然検索エリアにはないもの…それは、「アクションへ繋がるボタン」です。
ローカル検索は基本的にスマートフォンユーザーを対象としているため、Googleマイビジネスには電話ボタンや経路案内が表示されます。検索をかけてからすぐに気になった店舗や施設へ向かいたい場合は、Googleマイビジネスの情報をもとに目的地までの距離やルートを知ることができる他、問い合わせも電話のアイコンをタップして通話ボタンを押すだけです。
Googleマイビジネスにはこのようなスマートフォンの利点を活かした仕掛けが至る所に施されているため、すぐにアクションを起こしてくれる=意欲の高いユーザーのみに絞った対策ができます。
特徴③ 特定の地域で効果を最大限発揮できる
MEOは企業や店舗のGoogleマイビジネスを上位化させる施策のため、対象のエリアが限定的であればあるほど効果を発揮します。
特に地域密着型を売りにしているような特定の地域に特化した企業は、MEO対策を行うことで全国規模の大手よりもユーザーの注目を集めることができます。
また、検索する位置(現在地)によって検索結果が変わるという特徴から、対象の店舗・施設周辺に住む人や最寄りの交通機関をよく利用する人などにターゲットを絞ってリピート率を上げることもできます。
特徴④ Googleマイビジネスを正しく登録していればOK
MEO対策がSEO対策と違う点は施策の方法にもあります。
まず、SEO対策は検索結果上位までWebサイトの順位を上げるための施策であるため、Webサイトを持っていることが大前提です。そしてその施策もHTMLの最適化や内部修正、外部サイトからの自然な被リンクの設定、コンテンツ作成など多岐にわたります。
一方でMEO対策は前述の通り、Googleマップ内の検索結果上位に表示させる施策であるため、大まかに言うとGoogleマイビジネスの登録さえしっかりしていれば大丈夫です。
もちろん上位表示を維持するには常に最新の情報を掲載したり、ユーザーにとって有益な情報(外観写真や店内写真、口コミなど)を公開したりしてGoogleマイビジネスを充実させる必要がありますが、Webサイト全体に手を加えるSEO対策と比べると比較的短期間&低コストでの対策が可能です。
特徴⑤ 競合の数が少ない
上記の図1を見てもわかるように、業種やサービスに限定して検索をかけるとほとんどの場合で大手ポータルサイトが上位を占めています。
そしてその運営元は広告に莫大な費用をかけているため、いちWebサイトがこれら大手ポータルサイトよりも上を目指すことはあまり現実的ではありません。
しかし競合相手が全国クラスのSEO対策に比べて、MEO対策はあくまでもGoogleマップ内(しかも特定の地域)での上位表示を目指す施策なので圧倒的に競合が少なく、特定のユーザーに対して強力にアプローチできます。
特徴⑥ 短期間で効果が表れやすい
SEO対策で自然検索結果上位に表示させたい場合は、対策開始から少なくとも半年程度の期間は見ておく必要があります。特に近年はGoogleのアルゴリズムも進歩しているため、ペナルティのリスクなく上位化させるにはそれなりの時間を要します。それに対しMEO対策はSEO対策よりも施策内容が少なく、また競合も少ない点から比較的短期間で効果が表れやすいです。
そして少々語弊があるかもしれませんが、地域密着型ビジネスを営んでいる事業者はあまりWebサービスに明るくないケースが多いため、MEO対策を行うことでライバル企業よりも優位に立つことが可能です。
特徴⑦ 費用が比較的安価で済む
MEOは対象が限定的であるため、ビジネスモデルが限られたり、実店舗を持つ事業者に限られたりとSEOよりも狭い範囲での対策となります。
しかしその点、月々にかかる対策費用を抑えられるため、業者にもよりますが大体月額3万円前後(※ 1キーワード辺り)の費用で済みます。
SEO対策とMEO対策、自社に向いているのはどっち?
では実際に上位化対策として取り入れる場合、どちらを選択するのが適切なのでしょうか?
もちろん両方同時に取り入れるのがベストですが、ビジネスモデルや予算の関係で難しい場合もあるかと思います。そこでこちらでは、SEO対策とMEO対策それぞれが向いているジャンルについてご紹介していきます。
SEO対策をおすすめするジャンル
SEOは場所や距離・業種を限定されることはないため、幅広い分野での対策が可能です。
実店舗の有無も関係ないため、例えばWebサイトのみで完結するECショップ(通販サイト)などはSEO対策がおすすめです。
また、MEOは「今すぐ○○したい、○○へ行きたい」といった明確な目的意識を持つユーザーに効果的なのに対し、SEOはサービスや商品の質、価格、評価などをじっくり吟味したうえで利用したいユーザーへ向けて高い効果を発揮します。
特にニッチな商品やサービスを取り扱っている場合は、複数のキーワードを組み合わせた「ロングテールSEO」で上位を狙うと良いでしょう。
MEO対策をおすすめするジャンル
MEO対策は「地域名+業種」で検索をかけるユーザーに対して効果的に訴求できる施策のため、主に特定の地域で地域密着型のビジネスやサービスを提供している業種と相性が良いです。
特に検索結果を確認してすぐにアクションを起こしたいユーザーに対して高い効果を発揮するため、例えば歯科医院や整体院、修理関係など緊急性の高い業種はMEO対策がおすすめです。
また、広告エリアや自然検索エリアは軒並み大手企業のポータルサイトが牛耳っている飲食業や美容業も、MEO対策を取り入れることでローカル検索エリアから効果的にアプローチすることができます。
このような業種は特におすすめです
- 飲食店(居酒屋、カフェ、レストラン、料亭など)
- 美容関係(美容院、理容院、ネイルサロン、エステ、スポーツジム、フィットネスクラブなど)
- 医療機関(総合病院、診療所、歯科医院など)
- 施術店(整体院、あんま、マッサージ、脱毛、まつげエクステなど)
- 宿泊施設(ホテル、旅館、民宿、温泉など)
SEO対策とMEO対策、それぞれのメリット・デメリットとは
では最後に各々が持つメリット・デメリットについて詳しく解説していきますので、施策を検討されている場合はどちらの方が適しているかぜひチェックしてみてください。
SEO対策のメリット
①悩みや問題を抱えているターゲットを狙って訴求できる
検索エンジンから特定のキーワードで検索をかけるユーザーの多くは、そのキーワードに関連する疑問や悩みを抱えています。そのため、そういったユーザーの意図に対して直接解決策を提示できるサイトはSEO対策が適していると言えます。
②安定&継続して集客できる
自然検索エリアは上位表示までにある程度の期間を要します。しかしその反面、一度上位化すれば大規模なアルゴリズムの変更がない限り安定して上位を維持できます。
また、近年のSEO対策ではユーザーにとって有益なコンテンツが多いほど上位表示されやすいと証明されているため、コンテンツを増やしていくことでユーザーの満足度向上並びに1つの資産を形成することが可能です。
③地域性や実店舗の有無を問わない
SEO対策では地域性や実店舗の有無を問わないため、全世界のユーザーへ向けたアプローチが可能です。
検索場所によっては多少のズレが生じる場合もありますが、MEOよりは順位に影響が出にくいため広範囲にわたる施策が可能です。
SEO対策のデメリット
①効果が表れるまで時間がかかる
SEO対策はリスティング広告やMEO対策と比べると、上位表示までに最も期間のかかる施策です。
また上位化達成したからといってすぐに成果に繋がるわけではなく、何度もチェックと改善を重ねながら訴求力の高いコンテンツへと仕上げていく必要があります。
そのため短期間で集客効果を実感したい場合や緊急性を要する場合には、SEO対策は不向きと言えます。
②人気のキーワードは競合が多く、難易度も高くなる
検索頻度の高い人気のキーワードはその分競合も多く、上位化までに時間がかかります。
そして競合がひしめくようなキーワードは難易度も高いため、SEO業者に依頼する場合は費用が高額になる可能性も見込んで依頼する必要があります。
MEO対策のメリット
①検索結果の目立つ部分に表示される
前述でご紹介した通り、MEO対策を行ったサイトはローカル検索エリアの目立つ位置に表示されます。
また、対象のキーワードでリスティング広告が表示されない場合は検索結果の一番上に表示されますので、ユーザーに見つけてもらいやすく効果的にアプローチできます。
②SEO対策よりも難易度&費用が低め
MEO対策はスマートフォンでの検索が一般化した数年前から始められた施策のため、SEO対策と比べるとまだまだ世間的な認知度は低いです。
そのため現段階では競合が少なく、またGoogleマイビジネスの登録さえしていればWebサイトを持っていなくても対策可能なため、コンテンツが必須のSEO対策よりも費用を抑えることができます。
③地域性に特化した訴求ができる
MEO対策の場合、競合となるのはその地域に存在する同業他社のみのためSEO対策よりは上位化が難しくなく、そのうえ目的意識を持ったターゲットに情報が届きやすいといったメリットがあります。
MEO対策のデメリット
①地域外のユーザーには届きにくい
地域性に特化したメリットというのは、裏を返せば特定の地域から外れるユーザーは対象外になるということです。
そのため幅広いユーザーへ向けてアプローチしたい場合やその地域に店舗を有しない場合は、MEO対策を行っても集客効果を実感できる可能性は低いでしょう。
②口コミでお店の評判を下げてしまうこともある
Googleマイビジネスの良い点はユーザー自らお店のレビューを行ってくれる所ですが、口コミというのは必ずしも良い評価ばかりではありません。
実際口コミを積極的に書くユーザーは不満を抱えているケースが多いため、万が一低評価の口コミが書かれた場合は真摯に向き合う必要があります。
たとえ理不尽な内容であったとしても丁寧な言葉で返信を行い、他のユーザーへ良くない印象を与えてしまわないよう真摯な姿勢を見せることが大事です。
MEO対策は業者に依頼しなくてもできる?
前述でMEO対策はSEO対策と違い、Googleマイビジネスの登録さえしっかりしていればWebサイトは無くても問題ないと述べました。
ならば専門業者に頼らずとも自社で完結できるのでは?と思われた方も多いのではないでしょうか?
結論から申し上げますと、「できないことはありません。」
しかしGoogleマップの掲載順位には主に、「関連性」「距離」「知名度」の3つが影響すると言われています。
この関連性と距離については、Googleマイビジネスの登録欄に情報を明記していればクリアできますが、唯一知名度に関してだけは個人の対策では限界があります。
この知名度というのは、ユーザー自らの手で口コミやサイテーション(ブログやSNSなどでの引用・言及)される必要があるため、行動を促すには各ユーザーのニーズに応えられるだけのマーケティング知識を要します。
そのため自社だけでMEO対策を行うこともできなくはないですが、その分上位表示までにはそれなりの知識・手間・時間が必要です。
以上の点を踏まえると、MEO対策は業者に依頼しなくてもできなくはないですが、時間がかかるとそれだけ来店見込みの高いユーザーを取り逃がすことになるので、ある程度の段階からは業者を利用するのがおすすめです。
まとめ
SEO対策とMEO対策の違いについては掘り下げればまだまだ沢山ありますが、押さえておくべき点はある程度まとめました。
これからWeb集客にも力を入れていこうという方、あるいはライバルに差がつく集客方法を探している方は、ぜひともこの記事を参考にしてみてください。